小説(夏目漱石)

【小説】それから(夏目漱石)

私は死ぬ前にたった一人で好いから、他を信用して死にたいと思っている。あなたはそのたった一人になれますか。なってくれますか。あなたは腹の底から真面目ですか。 後期三部作と言われる「彼岸過迄」「行人」「こころ」は、これまでの作風と変わり、人間の…

【小説】行人(夏目漱石)

死ぬか、気が違うか、それでなければ宗教に入るか。僕の前途にはこの三つのものしかない。 後期三部作と言われる「彼岸過迄」「行人」「こころ」は、これまでの作風と変わり、人間の内面(エゴイズム・孤独)を深く掘り下げた作品とされています。また、個々…

【小説】彼岸過迄(夏目漱石)

己は雨の降る日に紹介状を持って会いにくる男が厭になった。 自分のようなまた他人のような、長いようなまた短いような、出るようなまた這い出るようなものをもっていらっしゃるから、今度事件が起こったら、第一にそれを忘れないようにしなさい。 「修善寺…

【小説】門(夏目漱石)

彼は門を通る人ではなかった。 また門を通らないで済む人でもなかった。 要するに、彼は門の下に立ち竦んで、日の暮れるのを待つべき不幸な人であった。 恋愛による苦悩をテーマにした、夏目漱石前期三部作「三四郎」、「それから」、「門」の1つです。「三…

【小説】それから(夏目漱石)

姉さん、私は好いた女があるんです。 僕の存在には貴方が必要だ。どうしても必要だ。 恋愛による苦悩をテーマにした、夏目漱石前期三部作「三四郎」、「それから」、「門」の1つです。「三四郎」の主人公が成長したそれからの姿が、「それから」の代助であ…

【小説】三四郎(夏目漱石)

あなたはよっぽど度胸がない方ですね。 恋愛による苦悩をテーマにした、夏目漱石前期三部作「三四郎」、「それから」、「門」の1つです。 明治期の文学者、夏目漱石の長編小説。初出は「東京朝日新聞」「大阪朝日新聞」[1909(明治42)年]。続いて書かれ…

【小説】坊っちゃん(夏目漱石)

親譲りの無鉄砲で子供の時から損ばかりしている。 明治期の文学者、夏目漱石の中編小説。初出は「ホトトギス」[1906(明治39)年4月。親譲りの無鉄砲で江戸っ子気質の主人公「坊っちやん」が四国の中学校に数学教師として赴任し、わんぱくな生徒たちのいた…

【小説】吾輩は猫である(夏目漱石)

吾輩は猫である。名前はまだ無い。 明治期の文学者、夏目漱石の最初の長編小説。初出は「ホトトギス」[1905(明治38)年〜1906(明治39)年]。1905年10月上篇が刊行されると20日間で売り切れたという。中学教師の珍野苦沙弥の家に飼われる、名前のない猫「…

【哲学】続・悩む力(姜尚中)

安定した収入、伴侶と家族、健康、老後のたくわえ―。この既存の幸福像は、いまや瓦礫と化した。神仏はおろか、現代社会の宗教とも言える科学への不信も極まり、寄る辺ない私たちの孤立はさらに深まっている。 この憂鬱な時代のただ中で、私たちが真の意味で…

【哲学】悩む力(姜尚中)

情報ネットワークや市場経済圏の拡大にともなう猛烈な変化に対して、多くの人々がストレスを感じている。格差は広がり、自殺者も増加の一途を辿る中、自己肯定もできず、楽観的にもなれず、スピリチュアルな世界にも逃げ込めない人たちは、どう生きれば良い…