【哲学】続・悩む力(姜尚中)

安定した収入、伴侶と家族、健康、老後のたくわえ―。この既存の幸福像は、いまや瓦礫と化した。神仏はおろか、現代社会の宗教とも言える科学への不信も極まり、寄る辺ない私たちの孤立はさらに深まっている。

この憂鬱な時代のただ中で、私たちが真の意味で生まれ変わり、新たな「幸せの感情」に浸ることなど、果たして可能なのだろうか?その問いを解く鍵は、夏目漱石の一〇〇年前の予言にこそある。大ベストセラー『悩む力』刊行から四年の時を経て、待望の続編がついに登場。(「BOOK」データベースより)

  • 感想

「幸せな人生」とはなんでしょうか。世間では、それなりの収入、家族、健康、老後の全てお満たすことが平凡な「幸せな人生」と呼ばれています。しかし、この「幸せな人生」のハードルは想像以上に高く、かなりの人数が実現することができていません。また、この平凡な「幸せな人生」に必死でしがみついたとしても、東日本大震災など災害があれば一瞬で壊れてしまいます。では、何が真の「幸せな人生」で、人生にどんな意味があるのか、本書はそのためのナビゲーターとなってくれます。

幸せな人生とは、「自分らしさが発揮出来る何かを見つけ、それに打ち込むこと」ではないでしょうか。では、どうすれば、自分らしさが発揮出来る何かを見つけることができるのでしょうか。筆者は「人は生死の境をさまようほど心を悩み抜いた時、はじめてそれを突き抜けた境涯に達し、世界の新しい価値とか、それまでとは異なる人生の意味をつかむことができる。」と主張します。つまり、常々自分は何をしたいのか、どのような人生を歩み続けたいのか悩み続ける必要があります。ただ、同じような日々を淡々と繰り返し、現実をただ受動的に受け入れるだけでは、やりたいことも見つからず、自己実現することはできないでしょう。人間が社会の歯車として代替の効くものして使われている現代ほど、重要な考えではないでしょうか。

  • 本書を読んで得たもの

自分が本当にやりたいことは何か、思考停止にならず、悩み続ける。