【小説】坊っちゃん(夏目漱石)

親譲りの無鉄砲で子供の時から損ばかりしている。

明治期の文学者、夏目漱石の中編小説。初出は「ホトトギス」[1906(明治39)年4月。親譲りの無鉄砲で江戸っ子気質の主人公「坊っちやん」が四国の中学校に数学教師として赴任し、わんぱくな生徒たちのいたずらにあったり、教頭の「赤シャツ」一派と数学教師「山嵐」との内紛に巻き込まれ、正義感に駆られて活躍するが、最後には辞表を出してただ一人の理解者のばあやの清の待つ東京に戻る。漱石は1895(明治28)年から翌年にかけて、松山中学の英語教師だった。その体験が元になっていると言われる。歯切れのいい文章と「坊っちやん」の個性の魅力によって、多くの人に愛読されている作品の一つである。(Amazonより)

  • 感想

吾輩は猫である」は500ページ以上もある長編小説である一方、本書は約150ページと、読書に慣れていない人にも読みすい量となっています。また、中学校の教科書に使われるほど書き方も簡易で、ユーモアに溢れるため、スラスラと読むことができました。以下の登場人物を中心に話は進みます。

・無鉄砲で、正直で、正義感溢れる「坊っちゃん

・嘘をついて、誤魔化して、陰でこそこそ生意気な悪戯をする生徒たち

・事なかれ主義で、陰湿な性格の教員たち

・いつでも坊っちゃんを可愛がり、気にかけてくれる下女の清

下女の清に代表される「以前の人」に比べ、生徒・教師に代表される「近年の人」は、ずる賢く、人を陥れて自分が得する事を考えています。「近年の人」ばかりの学校の中、「以前の人」である坊っちゃんは人間関係に悩み・苦労します。

いつの時代も悩みの種は、人間関係だということを再確認することができました。そして、歳を取るに連れて、嘘のつき方も覚えて、上手く生きるよう無意識に過ごしている「近年の人」となってしまった自分の姿に気づくことができます。子供の時の純粋な自分を思い出し、自分をいつも思ってくれる人を大切にしようと、読んだ後に心が洗われる作品です。

  • 本書を読んで得たもの

自分にも他人にも嘘をつかず、表裏なく生きるぞな、もし。