【自己啓発】完訳7つの習慣(スティーブン・R・コヴィー)

全世界3,000万部、国内180万部を超え、今も読み続けられるビジネス書のベストセラー『7つの習慣』は、人生哲学の定番として親しまれてきました。今回スティーブン・R・コヴィー博士没後1年を期に、『7つの習慣』が本来持つ「人格主義」に基づき、原書に忠実に訳し直しました。よりわかりやすく理解しやすい完全訳の『完訳 7つの習慣 人格主義の回復』。豊かな人生を望むすべての人にお届けします。(「Amazon」より)

  • 感想

本書では、幸せな人生への近道は、小手先の自己啓発テクニックではなく、根本的に人格を直すことだとしています。そして、人格は、日々の習慣から形成されることから、人格形成のために良い習慣を身につけることが重要であるとし、身につけるべき習慣とその身につけ方を本書にて紹介しています。

 

本書では、人間の成長には3つの段階があり、基本的には第一段階「依存状態」から始まるとしています。

第一段階「依存状態」…他人に合わせて、他人の人生を生きること

第二段階「自立状態」…自分で考え決断し、自分の人生を生きること(私的成功)

第三段階「相互依存状態」…互いに協力し、幸せを最大化すること(公的成功)

 

第二段階「自立状態(私的成功)」に必要な習慣

①第一の習慣「主体的である」

(パーソナル・ビジョンの原則)

主体的とは、自らの人生を他人や環境のせいにせず、自ら責任を持って考え、決断し、行動することです。自分こそが、人生の主人公であり、自ら人生の脚本を書いていく意識も持つことが求められます。例えば、他人が手を差し伸べるのを待つのではなく、自ら進んで行動することなどです。

また、物事には、自分でコントロールできることと、コントロールできないことの2つがあります。自分でコントロールできないこと(過去・天気など)については潔く受け入れ、自分でコントロールできることに集中して取り組むことこそが、最大の成果を生み出す秘訣です。

「主よ、私に与えたまえ。変えるべきことを変える勇気を、変えられないことを受け入れる心の平和を、そしてこれら二つを見分ける賢さを」

②第二の習慣

「終わりを思い描くことから始める」

(パーソナル・リーダーシップの原則)

第二の習慣は、人生に自らがリーダーシップを発揮し、人生で優先すべきことを決めることです。自分が死に、葬式が行われる時、親族・友人・家族・同僚などに、自分の人生をどのように語って欲しいでしょうか、彼らにどのような影響を与えていたいでしょうか。そのために、日々の人生で何を優先すべきなのでしょうか。

そして、自分が人生でやりたいことは、他人に委ねるのではなく、自分で主体的に決めるべきです。なぜならば、我々は他人の人生を生きているのでなく、たった一度しかなく、かけがえのない自分だけの人生を生きているのだからです。

そのため、他人や環境に左右されない、自分が最も優先すべき方針を、あらかじめ決めておくべきです。その優先事項を人生の原則として、その方向に向けて主題的に日常生活を努力することが大切になります。

③第三の習慣「最優先事項を優先する」

(パーソナル・マネジメントの原則)

第二の習慣で優先すべきことを決めたのであれば、優先順位に従い行動することが必要になります。しかし、我々は日々の生活で、自分の人生に重要ではないことに時間をかけ過ぎていないでしょうか(会社で頼まれた誰でもできるような仕事など)。「エッセンシャル思考」でも度々語られていましたが、自らの優先事項に背くものは、断ることや、他人に任せることも重要になります。他人の期待を満たすことよりも、自らの人生の優先事項を優先すべきです。

 

第三段階「相互依存状態(公的成功)」に必要な習慣

④第四の習慣「Win-Winを考える」

(人間関係におけるリーダーシップの原則)

Win-Win以外のどちらか一方が得をする状態では、将来に何らかの悪影響を残します。そうであるならば、Win-Win以外の取引は、いっそ行わない方が得策です。その分、時間を他の重要なことに使うことができるでしょう。そのためには、相手の気持ちを察する「思いやり」に加えて、自信を持って自分の考えを述べる「勇気」も必要になるでしょう。

幸せとは、有限であり皆で奪い合うものではありません。他人が幸せになると、嫉妬し、まるで自分が損した気分になる、他人の不幸をひそかに望んでいる意識では、Win-Winの関係を築くことはできません。幸せはこの世に十分溢れており、皆でそれを最大化するという意識を持つことで、他人の幸せも喜ぶことができる人になるのではないでしょうか。

⑤第五の習慣「まず理解に徹し、そして理解される」

(共感によるコミュニケーションの原則)

コミュニケーションを円滑に進めるためには、相手が心を開き、自分を信頼してくれるような人格を身につける必要があります。そのために、相手の立場に立ち、相手を理解しようとすることが重要です。例えば、会話のテクニックとして有名な「私にも同じような経験があって」とか「その気持ち分かります」という会話も、自分の過去の経験を相手の話に照らし合せているだけで、相手の立場から話を聞くことができていないのではないでしょうか。

⑥第六の習慣「シナジーを創り出す」

(創造的協力の原則)

お互いに敵対関係にあるのではなく、協力した方が多くを生み出すことができます。他人は、自分とは違う人生を歩んできています。自分とは違う経験をしてきた人が身につけた知識・ノウハウを抽出して短時間で得ることは、自らの成長のチャンスにもなるでしょう。格言にあるように、自分と同じ考えの人から得るものは少なく、考え方が違う人から得るものは多いのではないでしょうか。

⑦第七の原則「刃を研ぐ」

(バランスのとれた再新再生の原則)

大木を倒すには、斧を振り続けるよりも、作業を中断して斧を研ぐ方が効果的な場合もあります。日々の生活でも、目の前の仕事に忙殺されず、心身の向上・休息の時間を確保することが重要になります。毎日少なくとも1時間以上、自分の肉体・精神・知性の刃を研ぐことに費やすことが、自らの能力を高めるために理想的です。

  • 本書を読んで得たもの

人生の最優先事項を決め、実際に最優先させる。