【自己啓発】ゼロ 何もない自分に一を足していく(堀江貴文)

誰もが最初は「ゼロ」からスタートする。失敗しても、またゼロに戻るだけだ。決してマイナスにはならない。だから、一歩を踏み出すことを恐れず、前へ進もう。堀江貴文はなぜ、逮捕され、すべてを失っても、希望を捨てないのか?

ふたたび「ゼロ」となって、なにかを演じる必要もなくなった堀江氏がはじめて素直に、ありのままの心で語る、「働くこと」の意味と、そこから生まれる「希望」について。

 

  • 感想

以前から思っていたことですが、我々は、何かと人生に対する特効薬やショートカットを求めがちではないでしょうか。我々は、いかにして楽をし、最低限の努力で成功できるかという方法を一生懸命探しています。例えば、資格試験における裏技勉強法などの書籍が本屋に山積みされていることが良い例でしょう。しかし、大抵の人生の出来事に特効薬やショートカットはなく、我々はただ実直に小さな努力を積み重ねるしか、成功への道はありません。

ホリエモンは本書において、人生の特効薬やショートカットを「掛け算」と表し、地道な努力を「足し算」と表現しています。我々は何か新しいことを始める時、スタートラインにおいては誰しもが「ゼロ」の状態であり、「ゼロ」に何を掛けたところで「ゼロ」から変わりません。そのため、小さな努力を重ねて「ゼロ」としての自分に「イチ」を足していくことが成功への唯一の道なりと唱えています。

では、どのようにして、我々は一歩を踏み出していけば良いのでしょうか。ホリエモンは、何かやろうかと迷った時には、とりあえずやってみる「ノリの良さ」が必要だと唱えます。例えば、イベントに参加するのかしないのか、イベント会場で積極的に話をするのか隅で傍観者になるのかなど人生では様々な決断の機会に迫られます。挑戦した積み重ねが経験となり、自信へと繋がっていくのです。経験談として、ホリエモンは大学時代、同級生の女性の前で挙動不審で目を見て話すことができず、声をかけられても逃げるように立ち去っていたそうです。原因は、自分が生まれ持った性格ではなく「自信」を形成するための「経験」が圧倒的に不足していたからと分析しています。そこで、恋愛テクニック本など楽な方法に逃げるのではなく、勇気を持って女性にアプローチをして失敗を重ね、小さな成功体験積み上げることが「自信」につながり、女性に対して堂々と接することができるようになったそうです。

また、ホリエモンは仕事についても言及しています。仕事を「金をもらうための手段」としてとらえ、仕事は嫌いで我慢するものとしている人も多いのではないでしょうか。つまり、自分の時間を提供していることでお金をもらっている意識です。しかし、一度きりの有限の人生で最も大切なものは時間であり、人生の中で最も多くの時間を投じる仕事を嫌いで我慢している状態でいることは幸せな人生であるとは言えません。

それでは、仕事を好きになるにはどうしたら良いのでしょうか。ホリエモンは、仕事も趣味も物事を好きになる最初のプロセスは、それに「没頭」して無我夢中にハマることだと主張します。ソーシャルゲームなどには没頭させるメカニズムがあるため没頭して好きになる人が多い一方で、仕事や勉強にはそうした没頭させるメカニズムが用意されていないため好きになる人が少ないです。そのため、自分の手で日々達成できるかギリギリの目標を作り、毎日を全力で取組むことが、没頭状態に導き、その先の仕事が好きになる感覚にも繋がる近道だとしています。

最後に、ホリエモンは「考えて決断すること」の重要性を説明して本書を締めくくっています。

・悩むとは、物事を複雑にして結論を先送りにすること。

・考えるとは、物事をシンプルに原理原則に落とし込み、即決すること。

・決断とは、何かを選び、他の何かを捨てること。

・日常生活で悩むのではなく考える癖をつけ、自ら決断し、行動に移すこと。この繰り返しが、小さな第一歩になり、成功につながる唯一の手段である。

  • 本書を読んで得たもの

成功したければ挑戦すること、自分で考え・決断し、全力で走り抜けること