【自己啓発】幸せになる勇気(岸見一郎・古賀史健)

人は幸せになるために生きているのに、なぜ「幸福な人間」は少ないのか?アドラー心理学の新しい古典『嫌われる勇気』の続編である本書のテーマは、ほんとうの「自立」とほんとうの「愛」。そして、どうすれば人は幸せになれるか。あなたの生き方を変える劇薬の哲学問答が、ふたたび幕を開ける!! (「BOOK」データベースより)

  • 感想

「嫌われる勇気」がアドラー心理学を体系的・抽象的・理論的・理想的にまとめた本とすれば、「幸せになる勇気」はアドラー心理学の具体的・実践的・現実的にまとめた本です。

現代人の多くは、他人の評価・目線を気にし過ぎるがために、自分が本当にやりたいことをできないでいます。例えば、こうしたら他人に何か言われるであろうとやりたいことをやれない人、他人との対立を避けるために自分の意見を主張せずに意見・指示をすぐに仰ぐ人、テレビや他人の意見にすぐ左右されて自分の考えを持たない人、私を含め多くの人に当てはまると思います。これでは、一度きりの人生を、自分ではなく、他人のために生きる「不幸せな人生」になるのではないでしょうか。もっとも、現在、他人のためではなく、自分のために日々を過ごすことができているという人はごく僅かしかいませんが。

アドラーは、この状況から抜け出すため、他人の価値観ではなく自分の価値観に従って生きることを奨励し、その結果、他人に嫌われることになっても構わないと唱えました。つまり、他人を気にせずに、自分でやりたいことを自分で考え、自分の責任で行動し、自分の価値観でそれを評価するということです。例えば、他人の都合が良いことを行うことで他人から評価されるよりも、自分がやりたいことをひたむきにやった方が、幸せな人生が送れるのではないかと私は考えます。

一方、本書では人間関係についても詳しく語られています。我々には寿命があり、人生は有限です。そのため、すべての対人関係には別れが存在し、我々は別れるために出会っているといっても過言ではありません。この事実を忘れ、対人関係に積極的に踏み込むことができていない人も多いのではないでしょうか。我々が現在接している同僚・友人・家族は、おそらく将来二度と会うことがなくなる人たちです。私は、転勤などで多くの出会い・別れを経験しました。転勤先で会った多くの人は、もう二度と会うことがないかもしれません。今振り返ってみると、人間関係を遠慮・避けたりしないで、もっと積極的に交流しておけば良かったと思うこともあります。そうであるからこそ、現在の交友関係の人達とは「最良の別れ」を迎えることができるよう、会えるうちに後悔のない交流をしていきたいと思います。

最後に、アドラーは恋愛について語り、本書を締めくくっています。例えば我々の多くは、好意を持つ人を見つけたとしても、その人が自分に好意を持っているか分からない場合または好意を持っていない場合には、積極的にアプローチしません。なぜなら、アプローチした結果、失敗に終わり自分が傷つくことが嫌だからです。なので、一般的に我々が恋愛関係を発展させる相手は、自分が好意を持っている人ではなく、自分に好意を持ってくれる人になることが多いです。そして、自分に好意を持ってくれる人がいなければ、「まだ運命の人が現れるのを待っている。」などロマンチックな可能性の世界に浸ります。あたかも、今が上手くいっていないのは、自分のせいではなく運命のせいであり、運命の人が現れていないからである、そして、運命の人に出会いさえすれば全てが上手く行くはずといったように。アドラーは、運命は与えられるものではなく、自らの手で切り開くものと唱えます。もし、人に好意を持ってもらいのであれば、まず、自らがその人に好意を伝える「幸せになる勇気」を持つべきだと。

人生は1回しかありません。人間の寿命を80歳だとすると、我々はあと何年間生きることができるのでしょうか。二度と繰り返されることがない貴重な日々を、他人の目線を気にするのではなく、自分がやりたいことを追求する人生を送りたいものです。

・本書を読んで得たもの

他人や運命に任せず、自分がやりたいことを自分でとことんやる人生を生きる。